食事や配膳時にも注意が必要

更新日:2026/09/08

食事の場に潜む思わぬ危険

高齢者の方々にとって、毎日の食事は生活に彩りを与える大きな楽しみの一つです。しかし、実はこの食事の時間にも、やけどを引き起こす原因が数多く隠れています。加齢が進むと、手の震えが起きやすくなったり握力が低下したりして、温かいお茶や汁物が入った器を倒してしまうケースがよく見られます。若い世代であれば、熱いものが手や体にかかるとすぐに反応して服を脱いだり拭き取ったりできますが、高齢者の場合はそうはいきません。皮膚の感覚が緩やかになっているため、熱さを自覚するまでに時間がかかり、すぐに対処できないことがあるのです。
さらに、高齢者は皮膚自体が薄く傷つきやすいため、少量の熱い水分であっても、衣服に熱がこもることで深刻な皮膚トラブルに発展しやすくなります。周囲が気づいたときには、想像以上にダメージが大きくなっていることも少なくありません。食事を提供する際には、ご本人の手の動きを観察し、安全に飲み込める適温になっているかをあらかじめ確認する配慮が不可欠です。

食事の場に潜む思わぬ危険

電子レンジや食器の熱さにも配慮を

介護施設やご自宅での調理、配膳をスムーズに進めるために、電子レンジは非常に便利な道具です。しかし、レンジを使った温め直しには特有の注意点があります。
その代表的な例が、液体を温めた際に起こる「突沸(とっぷつ)」という現象です。飲み物や汁物をレンジで加熱しすぎると、一見すると沸騰していないように見えても、容器を動かしたりスプーンを入れたりした瞬間に突然激しく沸き立ち、お湯が周囲に飛び散ることがあります。取り出す際や配膳する瞬間に突沸が起きると、介護士もご本人も避けることが難しく、やけどを負う原因になります。加熱しすぎには十分注意し、もし温めすぎた場合は少し時間を置いて落ち着かせてからレンジから取り出すようにしましょう。
また、レンジ加熱後の食器そのものの温度にも注意が必要です。食器の素材によっては、中身以上に器自体が非常に熱くなっていることがあります。感覚が鈍くなっている高齢者の方は、熱い器を手で持ち続けてしまうことがあるため、配膳前に介護士が手で触れて確認し、熱すぎる場合は持ち手付きの器に入れ替えるなどの工夫を行いましょう。

今日から実践できる配膳の工夫

日々の介護業務の中で、少しの配慮を取り入れるだけで、食事中のやけど事故を防ぐことができます。今日からできる具体的な実践ポイントを意識してみましょう。
まずは汁物や飲み物を提供するときに、沸騰したての熱い状態を避け、ご本人がすぐに口に運んでも問題のない温度に少し冷ます習慣をつけます。また、底が広く倒れにくいコップや、持ちやすい形状の取っ手がついたお椀、滑り止めがついたトレイを活用すると、不意に手元が滑って中身をこぼしてしまうリスクを大幅に減らせます。さらに、お椀やコップに注ぐ量を容器の7割程度にとどめておくことも、持ち運ぶ際や口元へ運ぶ際に中身がこぼれにくくなる有効な方法です。ご自身でスプーンやお箸を使われる方の食事中であっても、汁物を持つ瞬間や温かいおかずに手を伸ばすタイミングにはさりげなく視線を配り、おかしな様子がないかを常に見守るようにしてください。
安全な食事環境を整えることで、高齢者の方に心からお食事を楽しんでいただきましょう。

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