高齢者に多い低温やけどになってしまったら

重症化しやすい「低温やけど」

やけどといえば高温のものにふれることによって起きるもの、と認識している人も多いのではないでしょうか。しかし、44~60℃の比較的低い温度で起こる低温やけど(医学用語では低温熱傷といいます)もあります。例えば、湯たんぽやカイロ、電気カーペットなどさわって気持ちいいと感じるようなものでも、長時間、皮膚に密着することで低温やけどになります。通常のやけどなら熱いものにふれた瞬間に体が反射的に避けようとしますが、低温やけどは熱いと気付かないままゆっくり進行します。熱さや痛みをすぐには自覚できません。そのため、気付かないうちに大きなダメージを受け、皮膚の深部まで損傷していた、というケースも多いようです。

重症化しやすい「低温やけど」

症状が見えにくい

低温やけどは通常のやけどとは違い、すぐに症状がわかりません。最初は皮膚が赤くなったり、ヒリヒリしたりする程度なのでそれほど酷くないように思われがちです。しかし、実際は長時間温かいものにふれていたので皮膚細胞が大きく傷ついており、時間の経過とともに水ぶくれや皮膚のただれなどの症状が顕在化してきます。酷い場合は数日から1週間後に患部の皮膚が黒くなり、かさぶた状になることもあります。

原因

低温やけどの原因として最も多く挙げられているのは、電気毛布や湯たんぽ、カイロ、こたつ、電気カーペット、電気アンカなどの暖房器具や防寒グッズの使用です。長時間皮膚に密着させて使用していた、使用中に居眠りしてしまい気付いたらやけどになっていた、というケースが多いようです。皮膚が薄い子どもや高齢者はもちろん、糖尿病など痛みを感じる神経に障害があり四肢の痛覚が鈍い人は低温やけどのリスクが高いので注意しましょう。

治療法

見た目が軽いのでそれほど酷い状態には見えませんが、実は重症化している場合があります。やけどの一般的な応急処置は患部を水で冷やすことですが、低温やけども症状が見られた時点ですぐに水をかけて患部を冷やしてください。進行を止めることができます。ただし、低温やけどは見た目以上に深刻な状態であることが多いため楽観視してはいけません。自己判断せずに早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けてください。

予防法

暖房器具や防寒グッズを使用する際は、取扱説明書に記載されている使用方法を守りましょう。例えば、カイロを使用する際は肌に直接ふれない、ベルトや下着で締め付けない、使用時間を守る、暖房器具と併用しない、などです。正しく使用することでリスクも減らせます。

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